「たーくやっ!」
前方に見える背中に飛びつくと彼は振り向いた。
「今課題解いてる途中ですから邪魔しないでくださいね」
「つれないなあ」
たくやの正面の席に移動する。
課題に一生懸命とりくむたくやは健気でかわいいと思う。
「たくやは真面目だねえ」
「さくらさんが不真面目すぎるだけですよ。
この前のテストもクラスで最下位くらいだったじゃないですか」
毒のある言葉。見た目は小動物。おなかをめくれば真っ黒け。
「だめだよ、わたしにそんなこと言っちゃ。友達を大切にできない人はね、 だれも大切にできないんだよ」 「だから、たくやはわたしのこともっともっと大切にしてね」
たくやはわたしの言葉に一瞬驚いたようだったけれど、すぐに「はい」と答えてくれた。
やっぱりたくやはかわいい。


(本当は彼女として大切にして欲しいだなんて思ったのは、また別の話)


『ハロー、愛を頂戴』

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