「泣かないで」 「もう、涙は枯れたの」 「そう、良かった」 「気分は?」 「何か、不思議な感じ」 「もっと、抽象的に表せないのかしら」 「でも結局、なんでもない。何の意味も無いもの」 「それを、望んでいた」 「見たかった?」 「ただそれだけ」 「違うでしょう?」 「貴女は神様?」 「神様って何?」 「トリヴィアルだ」 「無駄でしょう」 「きっと、素晴らしいこと」 「けれど、意味の無いこと」 「素敵だわ」 「紙一重、なのね。全ては二分されるから」 「無駄か、無駄でないか」 「素敵か、素敵でないか」 「僕か、僕でないか」 「私は誰なの? 君は誰なの?」 「僕と君の共通部分は僕以外と君以外の和集合とか?」 「きっと、貴女は空集合だったんだわ」 「それ、何かの冗談?」 「だから、泣かないで」 「泣いてなどない」 「もう、眠いわ」 「おやすみなさい」 「永遠に」 「安らかに」 「さようなら」 『ド・モルガンの法則』 |