ええと、喩えるなら私は縁日の金魚みたいなものなのでしょう。
金魚すくいのやつです。
色は、そうですね、やっぱり赤がいいですかね。なんでもなくて。
大きさは、とてもじゃないけれど大きいとはいえそうにないですね。ほら、手だってこんなにあなたよりずっと小さいでしょう?
ああもう不味いなあ。水道水って嫌いです。嫌い。キライ。
なんて言うんでしたっけ。どうでもいいけれど。
水道水には毒が入っているんですよ。
だから、きっと、私、もうすぐ死んじゃいます。
死んじゃうんですよ、ねえ。聞いてます?ちょっとこっち見ないでくださいよ。
……別に変なんかじゃないです。普通です。だってもうすぐ死んじゃうんですよ。死んじゃう死んじゃう死んじゃう。……いつもと違ったっておかしくないでしょう?
ねえ。
だからもう少しだけこのままでいていいですか。
あとほんのちょっと。そうですね、
私が死んじゃうまで、なんてどうですか。


そうやってやさしいだけの貴方は手をつなぐ為くらいにそんなややこしい事言うなと笑うけれど。


(金魚だって、恋をするのです)



『離さないでね、』
 

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