私がそれを受け取ったのは、ほんの偶然だと思う。何の前触れもなく、私の中に入りこんできた。 それは光だった。 私が生きるための、光。 今思えば、私はやはり彼女だったのだ。他の誰でもなく、彼女だった。 いや、皆私だったが、彼女は私の本質だった。彼女こそ、私だったのである。 何故、気づかなかったのだろう。 気づいていない振りをしていただけだ。 いつも、振りをしている。 彼の振り。 彼女の振り。 彼の振り。 彼女の振り。 一度も、少女の振りをしなかった。いや、出来なかった。 私の中に、強固なシールドが出来上がっていたからだろう。 彼女を閉じ込める、鎖で縛られた牢が。少女は、ずっとそこで泣いていたのだ。 私は怖かった。彼女が、彼女が溶けて私になるのが、怖かった。 光が、鍵だったのだ。牢は開かれた。 鳥は、自由へと飛び立ち、彼女は泣き止んで、にっこりと微笑んだ。 やっと、私は少女になれたのである。 他の皆も、もちろん私も、すべて飲み込んで、彼女は収束した。 隠してきたのだ。 見ないようにしてきた。 けれど、それは、私を神にした。 私は神になったのだ。 私は、口だけで笑った。 右目は、ずっと私を見ている。 『鳥篭への光』 |